虎ノ門ヒルズ①
 虎ノ門ヒルズ全景、最新のビジネス最前線だ。

 世の中にはリーダーがいる。先頭に立ち、先導する人たちだ。リーダーは権力、もしくは影響力を持つ。そして私たちを奮い立たせる。 個人であろうが、組織であろうが、私たちは従わざるをえないリーダーではなく、従いたいとみずから望むリーダーについていく。私利私欲のためではなく、私たちのために先導してくれるリーダーに従う。
       「WHYから始めよ!」サイモン・シネック著(日本経済新聞社)より
※今回のセミナーの一つで講演された宇宙飛行士・毛利衛氏が、講演冒頭で、 ”HOWではなくWHYから始める!” と言われたとの事。早速引用してみた。

 今日から3月、年度末で気持ちも引き締まる。先日23日に虎ノ門ヒルズで開催されたビジネスフォーラムSansan Innovation Project 2016に行ってきた。主催は名刺クラウドサービス事業のSansanだ。参加者の多くは私同様、営業職をメインとした30〜50代ぐらいの1000名が参加した中規模セミナーである。Sansanについては、実はあまり興味がなくフォーラムについても関心がなかったのだが、フォーラムの最後に元「LINE」の取締役・森川亮氏がゲスト出演するということだったので事前登録しておいたのだ。「LINE」といえば、昨今情報漏えいや、芸能人などのスキャンダルなど悪い話題が尽きないようだが、実際は10〜20代の若者中心に連絡手段やコミニュケーションツールとして普及し浸透しており、今やなくてはならないサービスの1つとなっている。私の「LINE」利用も、息子とのやりとりで重宝しているが、今のところこれぐらいしか使っていない。無料であっても、無駄に時間をロスすることもないと思うからだ。

虎ノ門ヒルズ②虎ノ門ヒルズ③
 虎ノ門ヒルズ入口付近とメイン会場

 森川亮氏の講演テーマ、「イノベーションを起こすための働き方」は、たった45分ほどで話しきれるものではないな、と踏んで聴いていた。イノベーションの定義を紐解くと「イノベーションのジレンマ」「イノベーションのDNA」などの名著では、「イノベーションとは、本来つながっていないものをつなげることで、例外的な状況を克服するための ”型破り” な解決策を生み出すこと」と説かれている。人類学者が世界を観察し驚くべき洞察を得るように、イノベータと呼ばれる人たちは ”人と違う行動” を常日頃から当たり前にとり、全く異なるアイデアや経験を関連ずけて驚くような解決策に仕上げる-これがイノベーションの簡単な概念だ。森川氏は大企業中心の豊富な経験者で、いわば企業内ベンチャーの第一人者である。日テレ〜ソニー〜ハンゲームジャパン〜LINE・・・(NEVERやライブドアの買収など)と数年ごとに大企業内で社内ベンチャーを複数立ち上げ、最新のビジネスを常に模索し続けてきたということだ。日テレやソニーという大企業だけではなく、オンラインゲーム市場に打って出たハンゲーム(現 LINE)が大当たりしてこの3〜4年「時の人」になったのだ。セミナー・講演やビジネス雑誌などに顔のでない時はないぐらいである。

トラノモン
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 「ボク、とらのもん」              講演者 
森川亮

 45分ほどの講演の中身は、ご自身のプロフィールで20分!それから関わってきた新規事業の各社の内容で10分、残り15分ほどはご本人がパネラーとなってのトークセッションだった。
設問から始まり、「お金✕顧客満足」ではどちらを優先的に考えるか?などに参加者が答える。それを種に話を展開されていた。この様子を見て私が感じたことであるが、トークセッションを通じて一番得るものが多いのは会場一斉マーケティングをした森川氏ご自身ではないかということ。マーケティングはコミニュケーションからということでスマートに時間の配分をし、スクリーン上のスライド演出を無駄なく行っているところなど、今まで関わった事すべてを自身のプレゼンに使い切っているなあ〜とつくづく感服した次第。特に頭に強烈に残った一つが「スピード」という言葉をくり返しくり返し使って反芻しながら講演していたことだ。
「時代の変化などと論じている間にどんどん変わっていくんですよ」「自分の考える価値なんて捨てて、ユーザーの求める価値やユーザーの視点に立って!」とか「もっと時間に集中する。要するに無駄な会議、古い技術をいつまでも磨いてばかりいないで!」、「本の執筆なども書いている間に時代が変化してしまうので内容の陳腐化にご注意を!」など、
最終15分でさまざまな森川エッセンスを詰め込んでおられたのだ。

私のお雛様
  私の長年使っている大切なお雛様

 ビジネスも人生も、まずは人ありき。自身のエゴがスピードを制していると気付いたら、速やかに視点を変えて動いて行こう。ダーウィンの進化論ではないが、「変化」対応力だけが生き残こりを決めるんだと改めて気分が刷新された。結局、イノベーションの正体は「自分を変えること!」に尽きると。「受け身」じゃなく、「主体的」になることだ。
 セミナー最後に森川氏は、「野生」になろう!と一言。印象的な〆だった。